福田康夫元官房長官と麻生太郎幹事長による一騎打ちとなった自民党総裁選。双方が訴える政策をみると「同じ自民党だから、そんなに違いはない」(福田氏)とはいうものの、経済政策や外交でそれぞれのカラーがにじみ出ている。15日に自民党本部で行われた共同記者会見をもとに、最近の発言も踏まえ、両者の主要政策・課題についての主張を比較した。
■国会運営
福田氏「野党との話し合いはとても大事。しっかりやっていくことが政権政党の責務だ」
麻生氏「2年後の9月が(衆院議員の)任期満了。これまでに解散が行われる」
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安倍晋三首相を辞任に追い込んだ「衆参ねじれ国会」。新政権誕生後も、与党が参院で過半数割れしている状況は変わりない。海上自衛隊のインド洋での補給活動を継続するためのテロ対策特別措置法の延長問題は、引き続き与野党攻防の焦点になる。
安倍内閣は、新法制定で乗り切る方針で、参院で否決されても、与党が3分の2を占める衆院で再可決し、成立させる構えだった。
福田氏はテロ特措法制定当時の官房長官だ。「国際社会の貢献に重きを置いた考え方に基づいて活動を開始した。その役割は変わることはない」と強調するが、国会運営では「野党第1党の民主党によく事情を説明し、理解をえる」と述べるにとどめている。
麻生氏は「新法を含めて考えていく」と安倍政権の基本路線を継承する姿勢。そして「民主党と自民、公明両党が話し合うことで世界中の理解を得られる」と、党首会談を拒否した民主党の姿勢を牽制した。
国会運営の頓挫は衆院解散・総選挙に直結しかねない。次期内閣は「選挙管理内閣」ともささやかれ、その時期の注目度は高まっている。
福田氏は一時は「予算案は通さないといけない」と解散・総選挙は来年4月以降になるとの認識を示したが、その後は「衆院議員の任期はあと2年ある」と事実上のゼロ回答。首相の最大の武器である「解散カード」を簡単に見せるわけはなく、麻生氏も「今の段階で申し上げることはない」と明言を避けている。
■党再建
福田氏「自民党への批判が極めて強いことを十分自覚し、国民の信頼を取り戻す」
麻生氏「自民党は大幅に変わった。逆戻りするような印象を与えるのは望むところではない」
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「緊急事態」(福田氏)、「非常事態」(麻生氏)とそれぞれ評する今回の総裁選は、次期衆院選をにらんだ「党の顔」選びでもある。それだけに党の立て直しは最大の課題といえる。
特に地方や業界団体の支持基盤の再建が急務だ。福田氏は「色々対応していくことが必要だ」としながらも「特効薬はない」と具体策の明言は避けた。
麻生氏はもともと幹事長として、今月末から全国行脚を計画していた。地方の声を吸い上げ、「選挙に強い候補者」の発掘と支持団体の再編・強化が急務と考えているからだ。
安倍政権への最大の打撃となった「政治とカネ」問題は、安倍首相が政治資金収支報告書に「1円以上」の領収書添付を義務付ける方針を示した。これには公明党も積極姿勢だけに、総裁に就任すれば「待ったなし」の課題となる。
しかし、「1円以上」には福田氏、麻生氏とも慎重姿勢だ。福田氏は「すべてを公開するのが妥当かどうか」と述べ、麻生氏も「政党助成金は当然だが、政治献金には政治活動の自由がある」と発言した。両氏が今後どのようなガイドラインを示すかが注目される。
新総裁の組閣手法については「私の都合で選ぶ」(福田氏)、「適材適所で」(麻生氏)と、いずれも含みを持たせた。
■外交
福田氏「昨今は交渉する余地がないような非常に硬い状況」
麻生氏「これまでの数年間の対応は決して間違ってはいない」
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日米同盟を外交の基軸とする点で一致する福田、麻生両氏の明確な違いが出るのは、対北朝鮮政策だ。
福田氏は安倍政権の圧力重視の路線から、「多少の弾力性が必要だ」と述べ、対話路線も重要とする立場。一方、安倍政権で外相だった麻生氏は「圧力がなければ対話にいかないのは、これまでの経験則だ」と安倍路線の継承を訴える。
対中外交でも差がある。
福田氏は中国中心の東アジア外交も重視し、昨年6月には「新福田ドクトリン」を発表した。父親の故福田赳夫元首相が掲げた「福田ドクトリン」を発展させた内容で、「心の触れあい」を基礎に東アジア共同体を目指すことを柱としている。
靖国神社参拝では「(中国などが)いやがることをあえてする必要はない」と発言、官房長官時代は国立・無宗教の追悼施設建設に熱心だった。
麻生氏は、著書で東アジア−インド−中東に連なる新興民主主義国との関係強化を重視する「自由と繁栄の弧」構想を提言した。中国に対しては、平成17年12月の記者会見で「かなり脅威になりつつある」と述べ、著書でも「伝統的中華帝国が復興するようではかなわない」と断言した。
靖国神社には「代替施設はありえない」との立場。昨年夏には特殊法人化すべきだとする「私見」を発表している。
■財政・格差問題
福田氏「改革を実行する上で生じた諸問題に丁寧に対応し、改革の道筋を作らねばならない」
麻生氏「経済成長路線を取れるよう構造改革を継続しつつ、ひずみといわれる部分への対応が必要」
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福田氏は、小泉構造改革は支持しながらも、「丁寧に改革を修正することはあり得べし、だ」と主張する。そうした考え方が端的に表れたのが、基礎年金国庫負担率引き上げに必要な2・5兆円の財源問題に言及したときだった。「行政サービスの合理化で国民サービスが低下してはならない」と過度の歳出削減には慎重姿勢をみせる一方で、「これ以上財政赤字を増やすわけにはいかない」と消費税率引き上げには理解を示した。
麻生氏は、経済成長で税収増を図ることを基本とする経済成長路線を採り、「名目成長率でいえば2%くらいを数年間維持する」としている。また、「小さい政府であっても強い政府」を訴え、歳出削減も徹底的に行うべきだとの立場。基礎年金国庫負担率引き上げに向け、消費税率を1%引き上げるとともに、「福祉目的税もやむを得ない」と表明した。
都市と地方との格差問題では、福田氏は「税制や、地域再生機構の活用などさまざまな工夫が必要」と制度面で対応していくべきだとの考え。与党内でも、地方に打撃を与えたとの声が強い公共事業の3%歳出削減には「こういう財政状況で、その程度の協力はお願いをしていく」と述べた。
一方の麻生氏は「一律3%(削減)はかなり安易な方法。地域によってメリハリを付けて当然だ」と訴えた。
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