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2008年3月 2日 (日)

“橋下流”教育改革 現場からは戸惑いの声も

 「教育は僕のメーンテーマ」と語り、積極的に教育改革への意欲を口にする大阪府の橋下徹知事。習熟度別授業の充実、小学校の35人学級見直し、高校入試の学区撤廃…。これらの方針について橋下知事は、「机上の空論だった」「世間知らずを痛感した」と譲歩しながらも、推進の姿勢は崩していない。府教委は現在、学校からの意見聴取などを通じて、現行制度が適切かどうかを検証しているが、教育関係者からは「現場の実情を踏まえていない発言だ」という戸惑いの声もあがっている。

 「手厚く教えてあげなければならない子に対しては、じっくり小人数で教えるべきだと感じた」
 先月13日、初めて府内の学校を視察した橋下知事は、就任前から訴えてきた習熟度別授業推進の姿勢を改めて報道陣に強調した。
 理解度に応じて児童、生徒をグループ分けする習熟度別授業は、大阪府では平成13年ごろから導入が本格化、現在では公立小学校の約9割、中学校の約8割で取り入れられている。学力の差が顕著に現れる英語と算数・数学に限って行っているケースが多い。
 ただ、実施方法はまちまち。全学年でなく、小学校の場合は5、6年生限定という学校が大半。つまずきが見られやすい単元に絞って導入している学校もある。
 今後の習熟度別授業の方向性について、橋下知事は「(実施校を増やすというより)内容の充実を図る。私立に負けないようにというのが僕の持論。それがどの程度達成できているかを議論していきたい」と述べているが、どの部分を変えるのかという中身には踏み込んでいない。
 府教委小中学校課は「授業改善ということなのか、実施学年・学級を増やすということなのか…。後者であれば教員数の議論も必要になる」と話している。
 理解できるが…
 「国の基準の40人学級の枠組みであっても、4分の3は35人に収まる。はたして30億円の事業費が必要なのか」
 太田房江前知事が目玉公約として掲げた小学校の35人学級についても、橋下知事は、政策協議の場で府教委に見直し検討を指示している。
 35人学級は、きめ細かい指導で学習習慣を身につけさせることを目的に小学校1、2年生で実施。橋下知事が言うように、制度がなくなっても35人を超える学校は1024の公立小のうち約280校にとどまる。
 ある公立小教頭は「試算としては理解できるが、実際問題、いったん減らした人数を増やすことには抵抗がある。何より、『私立に負けない公立を』という知事の理念に反するのではないか」。
 府内の中学、高校の国語教師を務め、教員らの相談に応じる「教師駆け込み寺・大阪」を主宰する下橋邦彦さん(68)は「1クラス20〜25人が国際的な水準」としたうえで、「大阪が35人という基準を守り抜くことは、将来的に国が定めた上限(40人)の見直し論議にもつながる」と訴える。

 現場の混乱懸念
 習熟度別授業とともに、橋下知事が選挙期間中から訴えてきたのが公立高校入試の学区廃止だ。
 大阪の学区は、約3年間の議論をへて、昨年9から4に再編されたばかり。学区撤廃も視野に入れての協議だったが、「特定の学校に人気が集中しかねない」との理由で見送られた経緯がある。
 このため府教委は「再編の効果検証も済まないうちに再度変更すれば現場に混乱を招きかねない」(高等学校課)との考えだ。「教育に競争原理を持ち込もうという考えは支持できる」という府南部の公立中教諭も「完全に学区がなくなれば、高校と地域の結びつきが希薄になり中高の連携もとりにくくなる」とマイナス面の方を指摘する。
 橋下知事が掲げる一連の教育改革方針について、教師駆け込み寺の下橋さんは「大阪を変えようという意欲は評価する」と一定の理解を示しながらも、「現場を知らずに発言しているという印象は否めない。すべてを現場に任せろとは言わないが、教員や専門家の話を聞き、自分の中で温めたうえで施策を打ち出したほうがいいのではないか」と話している。

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