子どもの学力・意欲の低下が問題となる中で19日、大学入試センター試験が始まった。今年の現役受験生は、02年に導入された「ゆとり教育」の下で、中高6年間を過ごした「元祖ゆとり世代」。「詰め込まずじっくり勉強できた」と評価する声がある一方、「学校の勉強を補うために塾に通い、ゆとりを実感できない」という生徒も少なくなかった。昨年問題となった合格実績水増しは、今年は自粛傾向になった。
◇「ゆとり教育」に対する受験生の声◇
(県名は試験会場のある都道府県名、大学名は志望大学。質問は(1)ゆとり教育をどう評価するか。中高での勉強は十分だったか(2)学習意欲はあるか(3)大学で何を勉強し、将来は何を目指すのか)
▽唐木田祐也さん=北海道、小樽商大(1)詰め込みではなく、ゆとり教育でじっくり勉強できて良かった(2)人にもよると思うが、学習意欲を持てた(3)公務員を目指したい気持ちがあるが、大学で企業法を勉強し、将来、進む道をじっくり考えたい
▽桜田俊輔さん=東京、慶応大(1)ゆとり教育といっても、しっかり勉強している人はやっている。差が大きくなっただけ(2)(ゆとり教育で)自らの努力が問われるようになったため、中学から塾に通った(3)ベンチャー企業に入り、会社の成長のための力になりたい
▽土屋文香さん=東京、東京大(1)今思えば授業に余裕がありすぎた。もう少ししっかりやってくれてもよかった(2)勉強と遊びのメリハリをつけている友人が多く、決して学習意欲は低下していないと思う(3)祖父を肝臓がんで亡くしたので、新薬研究をし、抗がん剤研究をしたい
▽松本翔平さん=愛知、名古屋工業大(1)中学時代は塾に通ったこともあるが、6年間で勉強は十分できた(2)意欲はある。問題が解けたり、良い成績が取れるとうれしい(3)大学のオープンキャンパスで興味を持ったカーボンの研究がしたい
▽山口亮樹さん=大阪、神戸大(1)授業時間が減っても試験のレベルは変わらないので、夏休みが削られたり、授業が1日7時間の日もある。ゆとりを実感できなかった(2)昔とあまり変わらないのでは(3)法律関係の仕事
▽南香帆さん=大阪、京都市立芸術大(1)ゆとりの実感はない。無理やり「ゆとり」などと言わないでほしい(2)今の年配の人に、若いころ「意欲がない」と言われなかったのかと逆に問いたい(3)グラフィックデザイナー
▽岩木崇さん=京都、東京大(1)昔に比べたら学力は低下していると思う。ただ自分は私学だったのであまり関係なかった(2)低かった。これはやらなくていいや、と切り捨てるところは切り捨ててしまった(3)法学を学んで外交官を目指したい
▽奥田華代さん=奈良、大阪大(1)「ゆとり」の実感はないが、金銭面などで塾に行けるかどうかで学力差が出るのはおかしい(2)知識を得るのが楽しく、自分は高いと思う。(3)情報処理の勉強をして、将来は電子機器のプログラムの仕事がしたい
▽穴水晶子さん=山口、未定(1)総合的な学習の時間で学力以外の力や知識が身についたので評価している(2)こつこつ勉強してきたので意欲は高かった(3)教育学部で国語教育について学び、小学校の先生を目指したい
▽上村駿介さん=福岡、未定(1)教科時間数が多い時を知らないが、それなりに学力はついた。ただ、入試対策は塾の方が早めに取り組んでくれた(2)平均程度の学力はあると思う(3)教育学や心理学に興味はあるが具体的には大学入学後考えたい
【ことば】ゆとり教育
詰め込み教育の反省から導入され、02年に改定された学習指導要領では、小中学校で学習内容が3割削減された。中央教育審議会(中教審)が今月、見直しを文科相に答申。3月までに学習指導要領を改定し、小中学校の主要教科の授業時間を1割増やす。新要領は09年度から順次実施され、小学校で11年度、中学校で12年度に完全実施される。
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